Comment from the Advisor
~顧問ひとこと~
工学部で養成する将来の技師、いわゆるEngineerには動詞として「巧みに処理する・やりくりする」という意味があります。
私自身は元々、数学・力学に加えてモノづくりや絵を描く事も好きであったことから、それらが生かせる工学部を選択して学部時代を過ごしました。大学院では造波理論に魅了され、最終的に大学の研究者の職を得ることになったのですが、工学部の学生にモノづくりを教えるに立場になるに当たって、「企業で実際の製品を作った経験のない者が、果たしてモノづくりを教えて良いのであろうか?」という疑問を持っていました。工学は理学とは異なり、モノを作ってこそ初めて社会貢献できる分野ですので、研究者への進路も開かれた大学院生はともかく、その多くが技術者の卵として卒業して行く学部生に対しては、高等な理論云々よりも実際のモノづくり経験を通して習得してもらう「経験」の方がむしろ重要ではないであろうか? この2つの自問に対して、まずは自身がモノづくり経験をした上で、学生諸氏にもその面白さやノウハウを教授すべきであろう、という自答を得たことから、1994年から当時学科内のプロジェクトとして浮上していた人力ボート(中翼艇)の設計・製作活動の指導を始めました。2002年からボートから人力飛行機へと製作対象を変更して今日に至ります。
人力ボートも人力飛行機も同じですが、これらの設計・製作活動は、基本設計(流力・構造解析含む)→詳細設計→生産設計→製造(品質管理)→製品検証というモノづくりの流れ全体を経験できるだけでなく、チーム作業を通して人材配置も含めたマネージメントの重要性も経験することができる、工学教育効果の高い活動です。一連の活動をとおして、冒頭に記した「巧みに処理する・やりくりする」ノウハウを会得することができます。こうした本活動の意義を踏まえた上で本活動に加わる学生諸氏が増えることを期待しています。